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2026/10/19 20:48

朝の一杯を淹れるとき、その豆がどんな旅をしてきたか、思いを馳せたことはありますか。
フェアトレードのコーヒー豆の価格には、豆そのものの代金に加えて、産地の学校や道、農園の未来のために使われる「もうひとつのお金」が含まれています。それが今回のテーマ、社会開発資金です。
今日は、このお金がどんな仕組みで生産者に届き、どんな風に使われているのかを、ゆっくりご紹介します。
■社会開発資金とは
社会開発資金とは、コーヒー豆や茶葉の代金の中に含まれていて、産地の人々が必要とする生活改善のために使われるお金のことです。ダイレクトフェアトレードに取り組む企業などで使われている言葉です。
国際フェアトレード認証では、同じ考え方のお金を「フェアトレード・プレミアム(奨励金)」と呼びます。「ソーシャルプレミアム」「エクストラフィー」という呼び方もあります。
このお金は、農家さん一人ひとりのお給料ではありません。地域のみんなで使う「共同のお金」として、生産者だけでなく、そこに暮らす人々の生活環境を少しずつ良くしていきます。
■寄付ではなく、「商売」として
社会開発資金は、地域社会にとって大切な資源です。その使い道は、作物を出荷する農家さんたちが自分たちで話し合って決め、購入先が出荷価格に反映させています。
ここで大切なのは、普通の商売と何も変わらないということ。作物を収穫し、精製して出荷するまでは、手元にお金は入ってきません。
そこが、募金や支援とはっきり違うところです。自分たちの手で育て、届けた分だけが地域の力になる。だからこそ自主性が育ち、買い手と売り手が対等な関係で取引できるのです。
■ダイレクトフェアトレードとは
フェアトレードには、大きく分けて2つの形があります。ひとつは第三者機関の認証を受ける「認証型」、もうひとつが企業や団体が生産者と直接手を結ぶ「ダイレクトフェアトレード(直接提携型)」です。
<認証型フェアトレード>
・仕組み:第三者機関の基準と監査をクリアした商品にラベルが付く
・上乗せのお金:フェアトレード・プレミアム(生豆1ポンドあたり0.20ドル)
・目印:国際フェアトレード認証ラベル
(出典)
<ダイレクトフェアトレード>
・仕組み:企業や団体が生産者団体と直接、またはNGOなどを通じて契約する
・上乗せのお金:社会開発資金(原料代金の中に含まれる)
・目印:ラベルが付かないことが多い
ダイレクトフェアトレードでは、買い手が実際に産地へ足を運び、生産者と顔の見える距離で向き合います。日本では、すき家などを展開するゼンショーホールディングスが2007年から取り組んでいます。
当店では認証型フェアトレードを採用していません。それはなぜでしょうか?
認証型フェアトレードには最大の欠点が存在します。
それは管理するため多大な認証費用とそれに係る専用の人材が必要です。それらを用意することは生産国の大きな負担になるだけでなく、参加を取りやめる障壁にしかなりません。
そのため当店では生産国の負担が少ないダイレクトフェアトレードを採用しています。
■産地ごとに、必要なものは違う
では、社会開発資金は実際にどう使われているのでしょう。ゼンショーの取引先の産地を例に見てみます。
水が足りない村、学校が遠い村、病気に悩む農園。産地によって課題がまったく違うのがわかります。
・東ティモール(コーヒー/2007年〜):古いコーヒーの木の植え替え、水道設備やコーヒー保管倉庫の建設
・タンザニア(コーヒー/2009年〜):出産・育児の衛生教育などを行う母子健康プログラム
・メキシコ(コーヒー/2009年〜):貯水タンクの設置、農業研修センターの建設、薬箱の配布
・ペルー(コーヒー/2010年〜):図書室の設置、煙害を防ぐ改良かまど、家庭菜園プロジェクト
・ルワンダ(コーヒー/2011年〜):水道施設、小学校、家庭科教室の建設
・ウガンダ(コーヒー/2011年〜):出産病棟の待合室、女子生徒の寄宿舎や中学校の建設
・エクアドル(コーヒー/2011年〜):山間部の小学校校舎の建設、さび病対策
・ブルンジ(コーヒー/2013年〜):夫を亡くした女性生産者へのヤギの提供、ソーラー発電キットの配布
・ニカラグア(コーヒー/2015年〜):さび病対策の苗木提供、ハリケーンからの復興支援
・ネパール(紅茶/2015年〜):農園で働く人の子どもたちへの返済不要の奨学金
・南アフリカ(ルイボスティー/2022年〜):子どもの教育や心のケアのための音楽教室、送迎バスの購入
一杯のコーヒーの向こうに、こうした一つひとつの暮らしがあります。
■Forest Cafe Mochaとフェアトレード
Forest Cafe Mochaでお届けしているコーヒー豆と紅茶は、そのほとんどがフェアトレード、それも全てダイレクトフェアトレードによるもの。そして可能な限り、有機栽培のものを選んでいます。
ダイレクトフェアトレードの商品は、ゼンショーホールディングスをはじめとする取引先から仕入れています。コーヒーだけでなく、紅茶やルイボスティーも、産地とまっすぐにつながった一品です。
店名の由来は、コーヒーノキが生まれた地エチオピアの「フォレストコーヒー」。森で育つコーヒーのように、作る人と飲む人、そして産地の自然がずっと健やかでいられるように。そんな思いで豆と茶葉を選んでいます。
■まとめ
・社会開発資金は、豆や茶葉の代金に含まれ、産地の生活改善に使われる地域の大切な資源
・使い道は農家さんが自分たちで決め、出荷価格に反映させている
・出荷して初めてお金になる「商売」だから、募金や支援とは違い、自主性と対等な関係が育つ
いつもの一杯が、遠い産地の明日につながっている。そう思うと、香りがまた少し違って感じられるかもしれません。
■参考
・ゼンショーホールディングス「ゼンショーのフェアトレード」
・ゼンショーホールディングス「フェアトレード取り組み国」
・国際フェアトレード コーヒー価格発表(2026年7月)